ドミトリエフ<中国は団体戦で勝つための準備をしている(下)>

ロドニナとメーガンへの評価がストレート過ぎて…。ウルマノフコーチもかつてR・フラット選手のことを「子どもが2~3人いる女性のようなお腹と腕」と評していたことがあり、ロシア人の率直さにはいつも冷や汗もの。ハビエルさんや、自国のヴォロノフさんにもキビシイですねぇ。




 ― メーガン・デュハメル/エリック・ラドフォード組とスイ・ウェンジン/ハン・ツォン組、専門家の目から見てより興味を呼び起こすのはどちらですか?

 どちらもです。ただ、3~4年前に初めてカナダ組を見たときは、彼らがいつか4回転スローをできるなんてまったく信じなかったでしょうね。あまりにぎこちなかったので。彼らは、言うまでもないことですが、ものすごく練習したのでしょう。それにプラス、女性パートナーの驚くべき規格外のフィジカル。1グラムの脂肪もない、素晴らしい筋肉の仕上がり。メーガンは私にイリーナ・ロドニナを思い起こさせます。彼女も当時、それほど美しくもなく表現力があるわけでもないと言われていました。でも彼女はやりました。ペア競技で10年間、一方的な試合をしました(?※ロドニナは1969年から80年まで、産休の1年間を除いて世界チャンピオンの座に君臨し続けた)

 あなたが名前を挙げた中国ペアに関してですが、彼らは私の好みからするとやはり体が小さい。“カナダ的”技法である長身の男性がいません。その点で残り2つの中国ペアの方が好きですが、ただ彼らには時間が必要です。総じて言うと、中国のペアたちは常に万里の長城として立ちはだかり、私たちはどこへも逃げられないでしょう。

 ― 中国の男子シングル選手、ボーヤン・ジンの演技を見てどう感じましたか?

 正直に言っていいですか?私はその演技を見ていません。有名な“ルッツ-トゥループ”のコンビネーションなら、練習のときに見てビデオカメラに収めたほどですが。それに、そこには私にとって驚くべきことは何もありません。中国は団体戦で優勝できるようにナショナルチームを準備しています。あわよくば、もう次のオリンピックでね。私たちロシアの勢力図はそれに比べ、楽観的とは程遠いものです。男子が表彰台に近いところへ行くことはおそらくないでしょうし、ペアに期待できるのはせいぜい3位。運が良ければアイスダンスも同じ順位でしょう。

 ― あなたはあまり楽観主義者ではありませんね。

 というより、物事を現実的に見ているだけです。

 ― 男子シングルでお気に入りの選手は?

 答えにくいですね。ハビエル・フェルナンデスのことは、たった一つの理由からあまり信用していません。彼はいつもどこかへ“投げ飛ばされる”ので。今大会のショートプログラムのように堂々たる滑りをするかと思えば、まったくダメだったりします。これぐらいのレベルの選手になれば、やはりある一定のレベルを保たなくてはいけません。パトリック・チャンが全員を仕留めにかかっていないとも限りません。彼は休養して、“息を吐いて”、心を静めて、何に向かっていくかを理解し、引き続きそうする必要があると決意したのです。このような認識は、概して、常に結果をもたらします。その良い例がマオ・アサダです。

 ちなみに、ロシアの男子トップ選手たちの現実的なレベルは、5位争いができる程度。これが彼らのマックスだと私は見ています。

 ―ご子息のアルトゥールは今シーズン、その男子選手たちの中の一人になれると思いますか?

 いまの状況から判断して、なれると思います。5月にアルトゥールはちょっとした膝の手術をしました。その後の回復が速くて状態が良かったので、アレクセイ・ミーシンが急きょトルコ合宿へ呼んだほど。ミーシンには最初まったくそんなつもりはなかったのですよ。いま息子は4回転ジャンプを取り戻し、国際大会で2連勝し、しかも最初の試合ではアメリカのジェイソン・ブラウンを上回り、2試合目では銀メダルのアレクサンドル・マヨロフに50点近い差をつけて勝ちました。その251.44ポイントという得点は、今シーズンの男子シングルで6番目の成績です。

 それとは別に、時間が足りないかもしれないという問題があります。フィギュアスケートには常にある種の惰力の時期があって、すでに十分いい滑りをしていてもジャッジが“解放”してくれないわけです。今ちょうど中国の選手が4回転ルッツのコンビネーションを跳んでいるにもかかわらず解放されないようなもの。あなただってきっと彼の演技構成点に注目したでしょ?もちろん構成点は伸びるし、与えられた時間の問題というほどでもないことは分かっています。でも、ボーヤン・ジンはまだ18歳で、アルトゥールはもう23歳。今ボーヤンが滑っているレベルにようやく迫ろうとしているところです。しかし、結局はジャッジではなく、常に選手自身に全てがかかっていることは分かっています。

 ― セルゲイ・ヴォロノフはどうでしょうか?「キャリアの終わり頃にやっと分別がついてきた(※以前より思慮深くなった・心を入れかえた・理性的になった)」と彼自身が話していますが。

 セルゲイは、ちなみに、文句なく才能豊かな青年です。スピンや、運動協調性(?)や、爆発力や、自分をよく見せる能力において。自分が何を言っているのかはちゃんと分かっていますよ。彼は一時期、私のところでトレーニングしていましたから。

 ― 彼の現在のコーチ、エテリ・トゥトベリーゼは2年前、私にこんなことを言いました。逆にヴォロノフには限界のある要素がいくつも見受けられ、それが彼の勝利を阻んでいると。

 主たる要素はいつも別のところにあります。セルゲイは自分自身に対してとても優しい。つまり、この先成長するために越えなければならない一線へ導こうしても、彼はそれを越えないわけです。つまり、口ではそうしたいようなことを言っていても、心の奥底では必要だと思っておらず、抵抗するのです。でもヴォロノフには、繰り返しますが、“マイナス”よりも“プラス”の方がはるかに多い。そのあらゆる“プラス”をまだどうしても寄せ集められないだけです。強制することは不可能。スポーツには、もし結果を出したければ、選手自らがやらなければいけないことがあるのです。


 (終わり)



<自習メモ>
браться/взяться за ум:становиться благоразумнее, рассудительнее.前より思慮深くなる、心を入れかえる

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