ワシリエフ<コフトゥンではなくコリャダがロシアのフィギュアスケートを引き上げられる>

なかなか辛辣な内容ですが、ワシリエフコーチは元々サンクトペテルブルクの人なので、コフトゥン選手個人のことだけでなく、露フィギュアスケート界のモスクワ一極集中問題に一石を投じる意味も込められていると思います。



2016年1月29日
イリダル・サトヂノフ


オレグ・ワシリエフ

コフトゥンではなくコリャダが我々のフィギュアスケートを引き上げることができる


 ロシア選手権3連覇のマクシム・コフトゥンは、欧州選手権のフリープログラムで崩れて3位となった。1位はハビエル・フェルナンデス、銀メダルを獲得したのはイスラエルのビチェンコで、コフトゥンを0.35ポイント上回った。
 ロシア功労コーチで1984年の五輪チャンピオン(ペア競技)であるオレク・ワシリエフが、Sovsport.ruのインタビューに応じ、国は今後もコフトゥンに頼る必要があるのか、どの選手がロシアの男子シングルを勝利へ導けるのかについて話した。


《 コフトゥンはフェルナンデスともハニュウとも戦えないだろう 》

 ― コフトゥンはフリープログラムで崩れました。3週間前にエカテリンブルクで行われたロシア選手権ではクリーンに滑りましたが。彼が安定感に欠ける原因は心理的なものでしょうか、それとも技術面にあるのでしょうか。

 コフトゥンにはコーチとメンタルトレーナーがいます。むしろ彼らに質問するべきことでしょう。私は専門教育を修めているとはいえ、傍観者にすぎません。私の目に映っているのは、私たちがマクシム・コフトゥンに期待をかけてもう4年目になるということ。その4年間で彼がショート、フリーともにクリーンプログラムをそろえたのは2~3試合しかありません。「マクシム・コフトゥンは我々の希望」「マクシム・コフトゥンよ、我々は君を待っている」と言いつづけてもう4年目です。さらにあと20年ぐらい期待してもいいでしょう。そうすればさらに2、3大会でクリーンに滑るかもしれません。

 なぜコフトゥンにこれほど期待をかけるのか、私には理解できません。たしかにあの子は4回転ジャンプを、トゥループとサルコウの2種類を跳びます。素晴らしいです!でもロシアには他にも専門的、金銭的に少し手助けすれば同じことをやれる選手たちがいます。マクシム・コフトゥンについて語るべきだとは思いません。ロシアの男子シングル全体について語る方が正しいのではないでしょうか。

 ― ロシアの男子シングルを今の段階でどのように評価しますか。

 プルシェンコとヤグディン以降、まだ蘇生していません。2006年にプルシェンコが第一線を退いたときに転落して、どうやっても上がりません。なんと悲しいことでしょうか。コフトゥン、コフトゥンではなく…私には今、ミーシャ・コリャダが見えます。そう、彼こそがロシアの男子シングルをヨーロッパや世界の表彰台へ引き上げられると期待し、語る必要のある、私たちの未来です。ミーシャ・コリャダであって、コフトゥンではありません。もう4年も自分を見つけられず、いつもなにか言い訳を見つける彼ではない。

 のどが痛いだの、なんだの、そんなことはぜんぶ、一度ならず聞きました。しゃべるのではなく、見せなければ。ええ、彼は故郷エカテリンブルクのロシア選手権では自分のスケートを見せました。いい滑りで、問題はありませんでしたが、いつもそのように滑らなくてはいけません。国が彼に給与を支給しているのは、彼がよい滑りをするためです。ところが彼はよく眠れなかったとか、何かいろいろと弁明をする。滑稽ですよ。

 ― コフトゥンの話に戻ってもいいでしょうか。彼にはフェルナンデスと戦えるポテンシャルがありますか。

 いいえ。コフトゥンの限界がどこにあるかは知りません。でも私はフェルナンデスを見ているし、ユヅル・ハニュウを見ているし、他の選手たちも、アメリカの16歳のネイサン・チェンも見ています。彼らはスケートをして、自分自身が喜びを得る。自分のスケートで観客にも喜びを届けながらね。ところが私たちがコフトゥンを見るとき、彼がいい滑りをしているときですらみんな神経質になっている。転ぶだろうか、転ばないだろうかとね。コフトゥンにはフェルナンデスと戦える見込みはありません。フェルナンデスとも、ハニュウとも、パトリック・チャンともです。

 ― コフトゥンはあまりモチベーションが高くないと言う人がたくさんいます。彼自身、人生の半分はスポーツの外で過ごし、リンクから出れば自分にとってのフィギュアスケートは終わりだと言っています。こういうメンタリティーが、勝利に狙いを定めることやクリーンな滑りを妨げているのでしょうか。

 それが妨げになっているとは思いません。それはごく普通の姿勢です。西ヨーロッパやアメリカ、カナダの選手たちの大多数がまさにそうしています。彼らにとってフィギュアスケートとは、喜びです。トレーニングに来て、喜びを得て、必須の課題をこなし、そして私生活を送るために立ち去ります。彼らの多くは、例えばレストランの給仕などをして自分で生活費を稼いでいます。つまりフルタイムでトレーニングしているわけではない。それはごく普通の心理ですよ。私はマックスの私生活への態度をポジティブにとらえています。トレーニングに全力を出して、その後は100%プライベートに生きる。これは正しいことで、そこにはなんの衝突もないと思います。


《 ハニュウはフィギュアスケートの神 》

 ― ミハイル・コリャダの方がマクシム・コフトゥンよりもポテンシャルは上ですか。

 コリャダはまず若い。年齢的に若いというのではなく、彼がトップに出てきたのがやっと(※先月の)ロシア選手権だということです。昨年は足の骨折で1シーズン出場できませんでした。だから彼にとっては今年が、自分にできる滑りに近い滑りを見せる初めてのシーズン。私が言っているのはまさに滑りのことなのです。コリャダの滑りは見ていて気持ちがいい。私たちの競技はフィギュアスケートであって、氷上の4回転ジャンプという名称ではありません。フィギュアスケートを見せているのはこのコリャダ選手です。美しく、楽しく滑ります。その滑りのスタイルとスケーティングの手法においては、フェルナンデスにも、ハニュウにも、パトリック・チャンにも匹敵します。単純にまだ経験が足りなくて、成熟するには1~2年必要でしょう。でも、このコリャダのスケートから観客は喜びを得るのです。

 ― アレクサンドル・ペトロフのヨーロッパ選手権での演技をどう評価しますか。

 サーシャ・ペトロフは今季、シーズンをとおして安定した滑りをしています。グランプリ、ロシア選手権、ヨーロッパ選手権、どの大会でもひとつもミスをしていません。これはどんなスポーツ選手にとっても非常に大きなプラス要素で、高い評価に値します。彼のコーチ、アレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンを称賛しなくては。自分にできることを毎試合やるということを、自分の生徒に教えることができたのですから。ペトロフがこういう滑りをするのはとても良いこと。でも、彼にはフィギュアスケートの勢力図における自分の顔というものがなく、まだ自分自身を見せていません。

 それに加えて、彼にはまだ4回転ジャンプがありません。それがあればヨーロッパ、あるいは世界選手権でメダル争いできます。ミーシンのようなプロフェッショナルなコーチがいて、そのアプローチがあれば、ペトロフは技術面だけでなく芸術面でも成長する見込みがあります。同じように練習を続けていけばヨーロッパ選手権で、もしかすると世界選手権でもメダルを獲る力をつけるでしょう。

 ― あなたの見たところ、フェルナンデスはハニュウに追いつけるでしょうか。彼は初めて300点を超えましたが。

 彼らはお互いに毎日、追いつき合っていますよ、一緒に練習しているときにね。冗談はさておき、ハニュウは今、疑う余地なくフィギュアスケートの「神」です。彼に追いつけるのは、ハニュウ自身がそれを許す場合、つまり自分の滑走でミスをやらかす場合のみです。そのときはフェルナンデスも、パトリック・チャンも、だれか他の選手も追いつけるでしょう。しかし、ハニュウが自分の最大限の力でミスなく滑れば、追いつくことはできません。幸か不幸か、事実は事実のままです。今のハニュウはとんでもなく良い。21世紀のとんでもないスケーターかもしれないほどに。




<原文>
http://www.sovsport.ru/gazeta/article-item/878991

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この記事へのコメント

  • Микичка

    О! Хорошо!! Ecoさん、大事な記事を精力的にどんどん訳してますね~。尊敬です。ワシリエフコーチの意見は手厳しいですが、現状も把握した上で確かに先を見据えていて、納得!ミーシンコーチも、コフトゥンに関してはあまり興味がないというか、冷めた見方をしている感じを受けますね。それにしても、今はアメリカ以外の国は他の国のスケーター達もきっちりチェックして、「国同士」の戦い、政治的、技術的な画策をしてて、おもしろいですね。
    2016年02月04日 03:11
  • eco

    Мики-сан,спасибо!Но это для меня просто удовольствие))
    ワシリエフさんのお話は、以前はどうもネガティブで、シニカルで、感情論に走っている印象で、訳す気になれなかったのですが、最近は変わってきたなあと思っています。リンクサイドやキスクラで見せる表情も明るくなったような。再婚して、子どもさんが生まれて、私生活が充実してるからかなと勝手に想像しております。このインタビューも、かなりキツイけれど冷笑的ではないし、筋もきちんと通ってますし。
    「アメリカ以外の国は」ですか?たしかに、全米選手権はお客さんがいっぱい入るのに国際大会はガラガラとか、それがアメリカの「お国柄」なのでしょうか?
    2016年02月07日 01:26
  • happy.

    こんにちは。いつもロシア語の翻訳ありがとうございます。
    興味深く拝見しております。
    コフトゥンのことは好きなのですが、なるほどと、この記事に納得でした。
    eco様にメッセージも送らせていただきました。
    2016年02月08日 14:30
  • eco

    happyさん
    ようこそお越しくださいました。
    メッセージもどうもありがとうございます。
    返信いたしましたのでご確認くださいませ^^
    2016年02月08日 21:30
  • Микичка

    Ecoさん、今回の全米選手権の採点を見るだけでもわかると思うんですが、アメリカでは日本やロシアを始め他の国で見られるような、「才能のある若い選手が突出してきた!ここで『期待点』としてボーナス点をあげて、もっと高いレベルで戦えるようにモチベーションをあげさせ、若いうちから世界トップレベルの世界に慣れさせよう!」という意図が全くなくて、ある意味すごく保守的なんですよね~。実際、アメリカの選手達は、男子女子ペアダンスとも、世界レベルで表彰台に上がれる選手が今一人もいないですよね。ジョニーが連盟からはじき出されたのもそういう(保守的な)意向でだし、正直言って、ジェイソンやアダムもいつジョニー路線を追って同じ目に合うか、ヒヤヒヤですよ~。
    2016年02月09日 12:09
  • eco

    Микиさん
    なるほど、確かにアメリカはそういう意味で保守的ですね。今回もネイサン君が怪我をした時点で、これはきっとジェイソン君がワールドに来るのだろうと思っていたら、まさかの超保守的な展開に…

    アダム君をしっかり応援したいと思います!!
    2016年02月11日 02:21

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