ランビエルのラスト・タンゴ

ロシアの新聞記者によるランビエル評。
ロシアは“ランビエンコ”が欲しかったのでしょうか…




ランビエルのラスト・タンゴ



 2度の世界選手権覇者、オリンピック銀メダリストのステファン・ランビエルが、アマチュア競技からの引退を表明した。『スポーツ.ru』はこの決断の理由を分析し、さらに今回のことによって、才能豊かなスイス人がフィギュアスケート界についに持ち込むことができなかった事柄について考察したい。

 ステファン・ランビエルの個性を数え挙げると切りがない(ユニークな天資、カリスマ性、独自性、魅力的な容姿、勤勉さ)。しかし、夢に見たオリンピックの頂点を征することなく、スイスの青年は去ってしまった。いったい何故なのか?

 もしかすると、ただステファンがこの国に生まれなかったからではないだろうか?ペーター・グリュッターのもとでトレーニングをしながら、ランビエルはヨーロッパ選手権に8回、世界選手権に8回、オリンピックに2回出場した。ほとんど10年の間、高いレベルで戦ってきた。アスリートの身体がいささか摩耗し、休息を求めるのは特に驚くべきことではない。
 そう、スイスチームはその強さ以上に(?)、彼に全てを教えてきたのだ。彼の輝かしい独創性を殺してしまうことなく。これだけでも有り難いと思わねばならいだろう。しかし、安定した、確実な、チャンピオンのジャンプ技術を持っておらず、とうとうそれを見ることはできなかった。トリプルアクセルという彼の永久の課題はここから生じる。

 確かに、ランビエルはアレクセイ・ミーシンの個人レッスンを受けていた。多くの外国人選手がそうするのと同じように。しかし、長年身に付いてしまった誤りを、ごく僅かな時間で完全に矯正することなどできるだろうか?また、逆の見方をするならば、自分の生徒のライバルが安定したトリプルアクセルを跳べるようにする必要が、果たしてミーシンにあっただろうか?答えは自ずと明らかだろう。 
 その上スイスでは、トレーニングに必要不可欠な条件が提供されなかった。ステファンは大勢の人々と同じリンクで滑り、エレメントを磨くためのトレーニング時間は悲劇的に不足していた。

 2008年、スイスのチームリーダーは、とうとうこのことを理解し、ガリーナ・ズミエフスカヤとヴィクトル・ペトレンコのいるアメリカへ移ることに決めた。しかし、もう遅かった。イエテボリの世界選手権ですでに悩まされていた怪我が、再び痛み始めたのだ。ランビエルは引退決意について次のようにコメントしている。
「今はすべてが終わってしまい、悲しいです。しかし同時にほっとしています。なぜなら、これが唯一の正しい決断だからです。数年後、僕は自分の身体の声に耳を傾けたことに感謝すると思います。両足とも健康で、走ったりスキーをしたりできるでしょうから」

 とにかく、ランビエルのキャリアは、フィギュアスケート界で最も輝かしい事件だ。彼のスピンはとてもファンタスティックだ。

 もしも、ランビエルがアマチュア競技を続けていたとしたら、どうだっただろうか?歴史に“もしも”は許されないが、ステファンは申し分のないチャンピオンになっていたと思う。なぜって、彼自身がこう言っているではないか。ペトレンコをコーチに選んだのは、素晴らしいトリプルアクセルを跳ぶからであり、ズミエフスカヤを選んだのは、それを教えることができるからだと。
 彼の新しいプログラムを見るのは楽しかっただろうに。彼は今季のショート・プログラム用の音楽として、ジョージ・ガーシュウィンのブルース『Summertime』を、フリー用にはアストル・ピアソラのエキサイティングなタンゴ『Otono Porteno』を選んでいたのに。

 スイスの青年は、彼の言葉によると、今は自身の健康問題にしっかり取り組もうとしている。将来さまざまなショーに参加できるように。いちばん近い日程は2009年1月~2月、ちょうど彼の故郷で行われる。

 さらにランビエルには壮大なプランがある。何か興味のあることを、言語・情報伝達・建築・デザイン・演劇・ダンスに関する仕事をしたいと考えている。ステファンが出す条件はたったひとつだ。
「僕は堅実な教育を受けたいと思います。そして、僕の名前がステファン・ランビエルだからというだけで貰えるような仕事は、絶対に引き受けたくありません。名前ではなく、力を評価されて仕事を得たいのです。たとえ大金を積まれても、名ばかりの職にはつかないでしょう。たくさん働かなくてはいけなくなるなると思いますが、汗をかいたり手を汚したりすることを恐れません。人生においては、毎日戦わねばならないということを知っているからです。そして僕はそのことを楽しみます」




2008年10月23日
オリガ・オクセニチ

<原文・画像・動画>
http://www.sports.ru/others/figure-skating/6015508.html

<自習メモ>
Спасибо и на том . これだけでも有り難いとせねばならない


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この記事へのコメント

  • ちゃおちゃお

    ecoさん、こんばんは。
    ロシアのスポーツサイトでも引退発表の記事を見つけたのですが、いかんせん、私のロシア語力ではどうにもならず、でもところどころ読める単語によると、フランス語なりドイツ語なりの記事の翻訳モノのようでした。
    その後、フィギュア王国ロシアではどういう論評なのかなぁ、と思っていたところなので、この記事を読めてうれしいです。
    拙宅で紹介させていただいてもよろしいでしょうか?

    >もしかすると、ただステファンがこの国に生まれなかったからではないだろうか?

    「たら」「れば」は意味がないとしても、本当にそう思いますね。ロシアの皆さんから見ても、彼の芸術性と才能はすばらしく、この惜しまれるということですね。
    2008年10月24日 19:12
  • eco

    ちゃおちゃおさん、いらっしゃいませ~
    ロシア語はちゃおちゃおさんにとって第4外国語(!)ぐらいですよね?ざっと見て翻訳モノのようだとわかるだけでもスゴイですよ~。私なんか、この記事を訳すのに5時間かかってますから(^^; タンゴ…じゃなくて単語力が悲劇的に不足しております。
    記事をご紹介頂けるとのこと、とても嬉しいです!ランビエルの熱狂的ファンの方にとっては、嬉しいような腹立たしいような微妙な内容かもしれませんが…良くも悪くもロシア目線で書かれてますよね。。
    2008年10月24日 20:05
  • ちゃおちゃお

    ecoさん、早速記事を紹介させていただきました
    いえいえ、ロシア語はまだまだ私の第5外国語の席にも座れません^^;でもЛамбьеляの記事がある!とロシア語表記の名前が読めるようになっただけでも、今年の3月からは考えられない進歩なんです(爆)。
    翻訳モノなのかな、と思ったのは、本人のセリフの中に、フランス語で見て訳した単語があるような気がしたから、というだけのことです

    ライバルであるロシアでもこの引退がこんなに惜しまれていたなんて、やっぱりフィギュア界全体が同じ思いだということですね。
    2008年10月24日 23:11
  • eco

    ロシア語表記の人名はなかなかの強敵ですよね~。私も今回「Гершвинって何?」って一瞬考えましたもん。だって、ゲルシュヴィン!ですよ。ガーシュウィンを知らなかったら辞書をひいてしまうところです(笑)

    とうとうGPが始まりましたね!ランビエルがいないのは本当に寂しいです。。
    2008年10月25日 21:04

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