アベルブフ率いるTVアイスショーの収録が行われました。
そのショーに先立ちマスタークラスを開いたヤグディン。
ソチ五輪のメダルの可能性は、ペアと“男子”なのですね!
2012年4月12日
アンナ・アレクセーエワ
かつてリンクにはもっと自由があった
(前文略)
こういうマスタークラスでいちばん大切なのは、子どもたちに何か明確な知識を与えることではありません。45分間で子どものスケートを変えることはできないし、僕も変えたいとは思いません。その子自身のコーチがいますからね。自分が小さかった頃とても嬉しかったのは、五輪チャンピオンのアレクセイ・ウルマノフがすぐそばでトレーニングしていて、僕にアドバイスをくれたりしたことです。単にテレビに出てくる人ではなく、実在の人物なんだと分かりました。つまり、どんなレベルの大会でも勝つことができるということです!大切なのは、自分の前に明確な課題を置いて、それを遂行しようとすることです。
ソチで勝てる可能性あり
― 観客のフィギュアスケートへの関心は衰えつつあると思いますか。
初めてのTVアイスショー後に地方巡業を行ったときは、観客のフィギュアスケートへの関心が跳ねあがりましたが、今はそういうことはありません。当時は店からスケート靴が一掃され(※売り切れ)ましたからね。関心が低くなった理由のひとつとして、ここ数年、ヨーロッパ選手権や世界選手権に出場しているロシア人選手たちが、かつて僕たちが試合に出ていた頃のようなレベルではないことが挙げられます。権威ある大会の金メダルは全部ロシア人が獲っていたこともありましたからね。その後、低下してしまったんです。ただ、僕たちはずっと全国をまわっているし、それに、すでに大きな業績を残したスケーターたちが参加してTVプロジェクトが行われているので、自分たちの国にはまだフィギュアスケートがあるのだということを皆さんが覚えてくれているわけです。
― 先日ニースで行われた世界選手権をご覧になっていましたか。
もちろん!この大会で一番重要なことは女子シングルで起きたと思っています。ロシアの女子がメダルを獲れるとはまったく期待していませんでしたから。つまり、ブレーク(※決壊、突破)です!アリョーナ・レオノワは運が良かっただけ、なんて考えるのは愚かなことです。彼女は立派に世界選手権の銀メダルを獲得しました。男子シングルは…こんなに出来が悪かったのは久々ですね。でも、何も無いよりはマシです。つまり、それでもロシアは前へ進んでいるということです。とにかくソ連の崩壊で膨大な時間を失いましたから。当時の僕のコーチは、「リョーシ(※アレクセイの愛称)、私は家族を食べさせなくちゃいけない。すまないが、スウェーデンへ働きに行く」と言ったんですよ。幸運だったのは、彼が僕を自分の最初のコーチだったアレクセイ・ミーシンのグループへ移したことです。良いところへ預けてもらいました。まぁ、こんなふうに居なくなっていって…本当にたくさんの良いコーチたちが国外へ出てしまって、この期間がロシアのフィギュアスケートの発展に惨めな影響を及ぼしたんです。
― 我が国の選手たちがソチオリンピックで勝つ可能性はどうですか。
ソチでメダルの可能性があるのはペアと男子だと思います。特に、ジェーニャ・プルシェンコが本当に出場するならね。
少ないエモーション
― 男子シングルのレベルは上がりましたか。それとも、あなたの時代よりも易しくなっていますか。
僕が出場していた世界選手権やオリンピックを思い出してみましょう。みんなが4回転を2本ずつ跳んでいました。なので、ジャンプのテクニックに関しては非常にレベルが落ちたと思います。現在、選手たちはジャッジから違う要求をされています。昔はジャンプを跳べばそれで良かったのですが、今はジャンプも、スピンも、スケ―ティングも必要です。
― それでも新採点は良いシステムですか。
それは言わないでおきますが…一部の選手のプログラムは、とにかく見ていてつまらなくなりました。得点を少しでも稼ぐためのエレメンツを行わなければいけないからです。この「レース」のおかげで、演技は全体的にショー性、エモーション性において旗色が悪くなりました。昔はもっと創作のための自由がありました。選手たちは氷上で本物の劇を作り上げていたんです!
― フィギュアスケートの新たなひとつの試みについて、あなたのご意見を伺いたいのですが。4月19日~24日、東京で非公式の団体世界選手権が開催されます。この種目はソチオリンピックでも行われますね…
僕の考えでは、まったくの戯言です!それならショートプログラムとフリープログラム、スピンとジャンプ、それぞれ別々に金メダルを授与することにしましょうよ。そう…水泳みたいにね。水泳なら50回チャンピオンになることも可能です。いろんな距離のレースがたくさんありますからね。
(略:ドムニナ&シャバリンの新リンクについての感想)
<原文>
http://kraysport.ru/component/k2/item/5032/1497
この記事へのコメント
るしー
興味深い記事を提供してくださるものでつい。
いつもナイスチョイスですね!
ヤグ、ご活躍ですね。なによりです。すっかり先生らしくなっている姿が目に浮かぶようです。
水泳や陸上競技っていいですよね。私も思ってました。
フィギュアは総合過ぎるにつきますね。それだけメダルの価値も重いのかな?
でも陸上・水泳、は競技人口比や、原始的だけど人間の能力限界を競う根本として、注目度も高いし、価値もあるし、やっぱりどちらとも言えないなあとか考えてたところでした。
今のフィギュア競技がつまらない、つまるは人それぞれ、微妙なところですね。
『美のテクニック』という本がありますように、私は今はテクニックに美を感じるようになりましたね。
スケート選手がバレエやフラメンコダンサーや役者のように振舞うのも、楽しいですが、
どうせならそっちの本物を見た方がいいし、同じようにスケートの極められた本物を見たい。
五輪種目である以上はスポーツですし、劇場のように自由なものよりも、しっかりした技術の集大成を見たいと思うようになりましたね。それを見せてくれるなら、特に好みの選手でなくても、素晴らしい存在です。
ヤグが今の時代にピークだったら、両方を極めてくれたかなあ。
うう!ジェーニャがんばれ!
YY
ヤグディンもショーで活躍しているようで何よりです。
ソチOPはロシア女子もメダルの可能性があると私は思っているのですが、かなり厳しめに見ているようですね~。
個人的には、新採点で男子シングルの演技は全体にバランスが良くなってきたと感じています。ニースワールドではエモーションも4回転も多くの選手で堪能できましたし、面白くなってきましたよね。それにロシア男子もこれからまた強くなるでしょう!(祈)
Jスポーツは、男子SPのみ五十嵐さん解説だったようですね。時間がなくまだ録画をみてないのですが昔に比べ穏やかだったとか?(笑)
杉田さん五十嵐さんの解説で育ってきた(?)私には、お二人とも結構きびしめという印象がありました。ただ今となっては、演技の構成にステップやスケーティングにジャンプの基本的なこと、どう演技を表情をつけるのか、音楽と衣装の色やデザインの関連などなど今の解説ではあまり聞かない競技の見方・面白さも伝えてくれ、とても勉強になり感謝しています。これは私の想像ですが、日本でN杯がはじまりファン作り育てる解説を心がけていたのかしらと思っています。特に専門本を購入したわけでもないのに、子供の頃から毎年解説を聞くうちに覚えてしまいましたから(笑)
るしーさん、今の時代にヤグディンがピークだったら・・・実は私も想像したことがあります。技術も演技も極め、どんな素晴らしい演技を魅せてくれたかなぁと。
eco
ヤグディンは、以前にもこんな発言をしていました。「この長い困難な道のりを共に歩んでくれた全ての人たちに感謝します。水泳なら、一度のオリンピックで8回チャンピオンになることもできますが、フィギュアスケートでは、4年に一度たった1つの金メダルを勝ち取るチャンスしかないのです」と。ひょっとすると、水泳選手を密かに羨ましく思っていたとか??
昨日、スポーツニュース番組でシンクロナイズドスイミングの特集をしていまいた。日本代表チームはあるロシア人コーチを招へいしていたのですが、それがとにかく芸術性にこだわる人で、日本の連盟の方針と合わず、解任されたのだそうです。日本は技術にこだわる方向でやって行きたいと…芸術系スポーツの永遠の悩みということになるのでしょうか。なかなか難しいところですが、いろんなタイプの選手がいて、いろんなタイプの演技を見られたら、観客である私は幸せ者だなぁと思います^^
eco
やっぱりワールドの後は翻訳欲がふつふつと沸いてきます(笑)。いま一番たくさん出ているのはレオノワ選手のインタビューだと思います。最近までソトニコワ&トゥクタミシェワ選手の記事が多かった中、自分の力で注目を引きよせたレオノワ選手、素晴らしいですね。
はい、今回の男子シングルはとても面白かったです!4回転も増えて、独創的なプログラムも増えて。ロシアは残念でしたが、来季はきっとジェーニャ・プルシェンコが2枠以上もぎ取ってきてくれるでしょう!ヤグディンは最近まで、もう競技には興味が無い、試合もあんまり見ていないようなことを言っていたのですが、今回は「もちろん見ていた」とのこと。元帝王的にも「おっ、やっと面白くなってきたぞ」という感じなのではないかと想像しています^^
五十嵐さん解説、私もまだ全部は見ていないのですが、テクニックをテクニカルに分析するところがすごく面白くて、「ほ~」「へ~」を連発しながら楽しんでいるところです。お声も最高に良いですしね(笑)
るしー
よくわからない競技です。登場と退場は点に入っているのかとか。そも、なんで水中であんなことするんだろうとか・・。
うろ覚えですが、何かの大会を見てて、ロシアチームは全員身長体格もすらりと揃ってて、日本チームはそれぞれでこぼこだったような。ロシア人コーチに、まずそこからが芸術の第一歩よ!と、改善なり、選手選抜を指導されたりして。「あなたもっと足長く出来ないの!揃えなさい!」とか。(笑)よっぽど無理を言ったんでしょうかね。
美しく見せる技術は、バレエでも絵画でも何でも結局は人間の努力ですもんね。がんばってる選手たちはえらいですね。
YY
やっと男子SP録画見終えました。五十嵐さんの解説は相変わらず説得感がありますね!それに声もいいから頭に入ります(笑)
高橋選手の演技は、無駄な動きがなくなったと褒めていましたね。私も、これまでは何か確認するような動きが時々演技中に出てしまうなぁと感じてましたが、今季のSPはまったくといっていいほどなくて、アーティスティックな面がさらに映えてきて素晴らしい~と思っていました。やはりスケーティングは大切ですね。来季、FSも同じように滑れたら・・・凄い演技が観られそうで期待しちゃいます。
五十嵐さん、昔はアイスダンス解説も担当されていたことがありましたので、またアイスダンスの解説してもらえると嬉しいんですが(笑)