<プルシェンコは境界を切り拓く>アレクセイ・ミーシン

先月29日にミーシンコーチが記者会見を行いました。
いろんな意味でかなり面白い内容だと思うのでご紹介します。
ミヤケンさんのロミジュリは見られそうにないですねぇ。
出産後に現役復帰したトップスケーターっているんでしょうか??



2012年11月30日
イリーナ・ワシリエワ

アレクセイ・ミーシン
プルシェンコはスポーツにおける
不可能という国境を開く準備ができている



 (前文略)


 ちょうどプルシェンコのトレーニングを見てきたところだが、彼は動きが若いと言える。一緒にトレーニングしている選手のほとんどが20歳までだが、プルシェンコは彼らよりも若い。


 (中略:ショーはジェーニャの妨げにならない、NRW杯は治療のため出場しない等)


 ― プルシェンコ選手自身はプログラムのことを話してくれませんでしたが、あなたからその「秘密」のベールを剥いでいただけませんか?

 ショートプログラムは『ストーム』。ヤンニの作品だが、終盤はヴァネッサ・メイになっている(編集注:このプログラムでプルシェンコは2012欧州選手権で優勝した)。フリーの方はいくつか試しにやってみたのだが、結局サン=サーンス・メドレーに決めた。中間部は『瀕死の白鳥』、その後に『死の舞踏』、導入部は『ロンド・カプリチオーソ』だ。もともと我々は『ロンド・カプリチオーソ』だけでプログラム全体を作りたいと思っていた。しかし、ほんの2分も経つと飽きてしまい、うまく行かなかった。そこで私が『瀕死の白鳥』を提案した。みんな、実のところ、両腕を広げて「何を言っているんだ?どんな白鳥だって?」と言い始めた。しかし、アレクセイ・ウルマノフが当時この曲で演技していたのを思い出してほしい。そのプログラムは写真家たちの間で非常に人気を呼んだのだ。

 エフゲーニーを女みたいだと呼ぶことは決してできないはずだ。プログラムの一部がゆったりとした音楽だと、そこで休むことができ、生理学的にも非常に快適なのだ。それに加えて、我々は音楽院からサン=サーンス作品を研究している専門家を招いた。その女性いわく、『ロンド・カプリチオーソ』は、サン=サーンスがスペインの作曲家兼バイオリニストのパブロ・サラサーテのために作曲したもの。これは戯れの演奏形式。そこにあるのはスペイン風のモチーフ。このようにして、フリープログラム前半をどのように行えばよいかが分かった。

 だいたい、サン=サーンスはひょうきん者だった。ユーモアのセンスのある人間だった。『死の舞踏』は、自分の墓から出てきた死人が踊るという着想で作曲された。我々もまたジェーニャから何かスタンダードではないものを作り出そうと試みている。プログラムのこの部分にはステップを配置した。フィギュアスケートの素晴らしい伝統のなかで(?)、融合した、まとまったものが出来上がった。音楽もフィギュアスケーターの運動活動を左右するからだ。

 ― プログラムを作ったのはどなたですか?

 我々は夏のあいだずっとプログラム作りをしていた。日本からケンジ・ミヤモトを招いた。彼はニーノ・ロータの『ロミオとジュリエット』のプログラムを作ろうと提案してきた。彼は素晴らしいスペシャリストだ。だが、「ロミオはどこだ?ジュリエットはどこだ?」ということになった。というのも、我々はボリショイバレエやキーロフバレエを出発点とすることに慣れており、そこには各々の役柄がきちんと書かれているからだ。美しいカーブや腕の動きを作ったのだが、そこにロミオはいなかった。それで結局、この案は不採用となった。

 また、イタリア人のパスカーレ・カメレンゴとブルースを作った。しかしながら、それをジャパン・オープン(※カーニバル・オン・アイスのことですね)で滑ったエフゲーニーは、控えめな拍手のもとリンクを去ることになった。ブルースは観客の心をつかまなかった。ブルースは一撃ではないし、大動脈の破裂(※※)ではない。結局、我々は昨年使った曲に戻った。

 ― 30歳を超えてオリンピックで優勝することができた男子スケーターは、たった2人しかいません。1908年にスウェーデンのウルリッヒ・サルコウが31歳でそれをやりました。そして彼の同胞であるギリス・グラフストロームが1924年に2度目のオリンピックチャンピオンとなりましたが、そのとき同じ31歳でした。そして4年後、35歳で3度目の表彰台の頂点に立ったのです。エフゲーニーが彼らの仲間になる可能性はあるとお考えですか?

 年齢はこの場合、障害ではない。体育学的活動における可能・不可能の境界を切り拓く(※不可能という国境を開く)ことは、単純に可能だからだ。男子シングルスケーターが4度のオリンピックに出場するという扉は、まだ開かれていない(※実際にはグラフストロームが4度出場していますが、80年も前のことなので…)。もしエフゲーニーがソチに出場することができれば、それだけですでに大記録となる。私はある時リーザ・トゥクタミシェワにプルシェンコの例を引きながら、いつか出産してもまた競技に復帰することができるんだよと言った。その会話をぜんぶ聞いていたプルシェンコはこう言った。「リーザ、2回復帰するなんて絶対にお勧めしないよ。1回だって勧めない!ものすごく大変なんだから!」とね。


 (略:トゥクタミシェワはいま成長期で難しいが、運動能力に変わりはない等)


 ― では、アルトゥール・ガチンスキーにはいったい何が起こっているのですか?

 今はまだガチンスキーの状況を正常化できていない。しかし、元通りの彼に戻っていると言えるような場面もある。ただ、その話をするのは時期尚早だ。



<原文>
http://www.baltinfo.ru/2012/11/30/Aleksei-Mishin-Plyuschenko-gotov-otkryt-granitcy-nevozmozhnogo-v-sporte-320739



<自習メモ>
※※大動脈の破裂 разрыв аорты
オシップ・マンデリシュタームがパガニーニを詠った詩
≪За Паганини длиннопалым...≫より

Играй же на разрыв аорты
С кошачьей головой во рту,
Три чорта было - ты четвертый,
Последний чудный чорт в цвету.

Иносказательно: об актерской игре, в которой артист "выкладывается" полностью.

全身全霊を傾けた演奏・演技→それを可能にする音楽の意味か?

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この記事へのコメント

  • すぱしーば

    現役復帰とまではいかないけど、スルツカヤさんが今回の
    MWOに出場されましたね
    彼女は偉大なスケーターだと思います
    27歳でオリンピックの表彰台に乗りました
    誰も真似出来ません
    2012年12月02日 01:29
  • えぽ

    いつも楽しみに拝見してます。
    アイスダンスのイザベル・デロベルがバンクーバー五輪前に妊娠出産して現役復帰してますね。
    2012年12月02日 03:10
  • aiko

    アイスダンスのナフカやペアのゴルデーワは
    出産してから五輪で金メダルを獲得したので
    女子シングルでも可能かもしれませんね。
    2012年12月02日 10:31
  • 森のくま

    サン=サーンスの話面白いですね~フリーの仕上がりを見るのが楽しみです!
    リーザにちょっかい出すプルがかわいい^^
    がっちゃんは心配ですね…。
    それにしてもミーシン先生は本当にお忙しい。
    ネット上のミーシン先生のインタビュー記事、
    最近増えてきてますか?
    ソチが近づいてきて注目度が上がっている感じがして…
    来シーズンだから当たり前なんですけど、
    なんだか緊張してしまいますね。
    2012年12月02日 13:46
  • eco

    すぱしーばさん
    MWO見に行きましたよ!私の興奮の頂点がスルツカヤでした!あの躍動感、あの弾けるような笑顔。2児の母になってもそのまんまで大感激でした。それに、現役時代も難病で2年間のブランクがあったのでしたよね。本当に偉大なスケーターです!!
    2012年12月02日 19:44
  • eco

    えぽさん
    そうでした、デロベル選手がいましたね。今もショーで滑ってますよね。個性的で、大人の魅力たっぷりで、私の好きなダンスカップルのひとつです。
    2012年12月02日 19:47
  • eco

    aikoさん
    ほんとですね、ナフカやゴルデーエワがそうでしたね!特にナフカ様のスタイルの良さは驚異的で、ひとり産んでいるとはとても信じられなかったのを思い出しました。
    2012年12月02日 19:53
  • eco

    森のくまさん
    いつもありがとうございます^^
    サン=サーンスのプログラムが、こんなに深い解釈のもと作られていたとは…音楽院から専門家を招いてしまうところがロシアらいしですよね。そして、ミヤケンさんとカメレンゴさんを招いておいて、二人ともボツにしてしまうところがミーシン先生らしいというか…
    ミーシン先生の記事は他にもたくさん出ています。ロシアで今ほどフィギュアスケートに関心が集まったことはなかった、それに応えていかなければというようなことを仰っていました。ソチオリンピックまで、もうあと1年ちょっと。ドキドキしますね!!
    2012年12月02日 20:04
  • YY

    こんばんは。
    プルシェンコ選手の振付、もとのに戻してしまうんですね・・・ちょっと残念です。今年のワールドで男子2枠獲得しないといけないですから、ミーシンコーチも大変なんだろうと想像しています。

    話は全く違うんですが、結構前からロシアのバレエダンサーの中には出産後も第一線で踊っている方がいます。アイスダンスもバレエも本当に凄いですよね(笑)
    2012年12月02日 23:14
  • eco

    YYさん
    ロシア語では"順位"も"枠"も同じ"メスト(場所)"という単語を使います。先日、「ワールドでは複数の五輪出場メスト(枠)を取らないといけませんよね」と記者から突っ込まれたミーシン先生は、「複数の悪いメスト(順位)よりも、1つの良いメスト(順位)が必要」みたいなことを仰っていました。なので、「1枠でもジェーニャがメダルを獲ればそれで良い」と思ってらっしゃるような気がるのですが…(汗)

    バレエ界って、そうなんですね!ロシア人女性は出産後、あまりに劇的に体形が変わるイメージがあったので、ちょっと嬉しい驚きでした(笑)
    2012年12月03日 14:24
  • K

     ミーシンはタラソワの白鳥に対抗したいだけなの?
    2012年12月06日 00:45
  • effect

    おひさしぶりです。
    ミーシン先生の素敵なインタビュー 本当にありがとうございます。

    >私はある時リーザ・トゥクタミシェワにプルシェンコの例を引きながら、いつか出産してもまた競技に復帰することができるんだよと言った。

    「あの」ミーシン先生が 女子の選手を育て こんな会話をその女子とするなんて!それだけでも 驚きで嬉しいです。
    長生きはするもんですね(笑)

    それを聞いていたジェーニャとの会話も ミーシンチームの空気が伝わってきて嬉しいです。
    2012年12月20日 16:10
  • eco

    effectさん
    お返事が超遅くなってしまってすみません!!今年の年末は例年になく忙しくて、くたばっておりました。。
    今回リーザがロシアチャンピオンになって、しかも体調の悪い中で掴んだ勝利だったので、ミーシン先生はベタ褒め状態ですよ。本当にこんな日が訪れるなんて感激(笑)
    ミーシンチームは仲が良さそうでいいですね~。大晦日はみんなでもみの木を囲んで、先生は奥さんとワルツを滑るそうです。楽しそう☆
    2012年12月31日 05:58

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